Webridge Meeting SP22「Webアクセシビリティ はじめの一歩」に登壇しました

2016年10月1日(土)に香川県で開催された「Webridge Meeting SP22「Web アクセシビリティ はじめの一歩」インフォアクシアの植木さん、大藤幹さんとともに登壇しました。

##はじめてWebアクセシビリティという枠で話しました

配色について話す機会は少なくないのですが、今回初めてWebアクセシビリティという枠で話しました。書籍などではもちろんWebアクセシビリティを担保するための一部として触れてきてはいたのですが、そもそも色は「見える」ことが前提の話になるため、自分が積極的に関わってきたというよりは、得意分野の色でカバーできないことがあるために、アクセシビリティを意識するようになったというのが正直なところです。

今回、植木さんからお声がけいただきまして、大阪・名古屋で開催されたお二人のセッション枠に加えていただきました。大阪版には参加したのですが、所用で大藤さんのセッション途中で退席しましたので、あらためてお二人の話で基本をおさらいできたのもよかったです。

セッション1『今日から始めるWebアクセシビリティ、まずはココから! ~Webアクセシビリティ はじめの一歩、キホンの「キ」~』

セッション1はインフォアクシアの植木さんは、ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)の委員長として、日本のWebアクセシビリティの重鎮として、日々取り組まれています。個人的にはウェブ業界の人は1年に1回は植木さんの話を聞くべきだと思っています。

Webアクセシビリティの基本的な話は何回聞いても新しい視点で聞くことができます。私の物覚えが悪いだけであるという気もしないではないのですが、以前に比べてやはり年齢や体力の衰えを感じることが増え、けして高齢者・障害者だけのものではなく、自分のことと捉えられるようになってきたのかもしれません。

キホンの「キ」がどれくらいできているか常に考えながら、自分のためにもきちんと取り組んでいこうとあらためて思いました。

セッション2『HTML5で今日から使えるWAI-ARIA ~Webアクセシビリティ はじめの一歩、アリアの「ア」~』

2番目のセッションは大藤幹さんのWAI-ARIAのお話です。大藤さんの本で学んだことが多く、実際にお会いして話を伺えるということだけでもすごくうれしいことです。

WAI-ARIA(WAI Accessible Rich Internet Applications)はHTMLに属性を加えることで、タグに様々な情報を付加することができるようになる技術です。最近ではブラウザのサポートも進み、多くのサイトのHTMLで見られるようにもなってきました。

初歩的なものについては、自分で学んでいたのですが、わかりやすく多くの属性を教えていただけました。

WAI-ARIAは覚えてしまえば、すぐに使うことができます。私もきっちりと覚えているわけではありませんが、タブなどを使う場合にはWAI-ARIAに対応しているプラグインなどを優先して利用することにしています。

role属性、aria-xxxx属性、tabindex属性などのお話を伺いましたが、最近腱鞘炎気味の時にはマウスを使わず、キーボードで操作する方が楽なときがあり、きちんとtabindex属性が設定されていると助かると感じています。もちろん他の属性も大事なのですが、自分の関わるサイトでももっときちんとしなければならないと思いました。

WAI-ARIAについては、大藤さんが『わかりやすい「WAI-ARIA 1.0」仕様解説書』というほんとにわかりやすい電子書籍を出しておられます。今コーディングをしている人は必読だと思います。


セッション3『今日からできるカラーデザインチェック ~ Web アクセシビリティ はじめの一歩、カラーの「カ」~』


最後が私のセッションとなります。大御所2人の後ということで、いつになく緊張してしまい、回線切断のトラブルなどですっかりテンパってしまい、ご参加いただいた皆様には大変ご迷惑をお掛けしました。

今回は様々な見え方とカラーチェックにテーマを絞ってお話をさせていただきました。

定義ではなく個人的な見解なのですが、アクセスできる(Webアクセシビリティではなく)というのは様々な人が様々な環境でアクセスできるというのを含んでいると思っています。先ほど述べた一時的な手の痛みで操作が難しいなどはもちろんそれに含まれるのですが、スマホを外光の下で見たり、明るい部屋でプロジェクターを使ったりという環境の問題も含めて、より多くの人にきちんと情報を受け取ることができる、また届くように配慮しなければならないと考えています。

そのため今回は色覚や閲覧条件が様々であることを前提に、カラーチェックをしましょうということです。

植木さんにも触れていただきましたが、WCAG2.0が最初に出てきた頃はスマートフォンも一般的ではなかったですし、規格を満たすという意味では文字サイズに関係なく、コントラスト比は4.5:1以上とした方がよいと思っています。その方が覚えやすいですし。

覚えやすいということは実装しやすいということでもあると思うので、これからもここは強くアピールしていきたいと思います。

そして澤田スタンダードデザインの澤田さんからはこのようなツイートが。

という状況を僕も感じているので、ぜひ20代の方にバリバリとやっていただければと思います。

もう1冊だけ本を書いてもいいかなと高松で思った

2007年の「Web配色デザインのセオリー」と2013年の「ウェブ配色 決める! チカラ - 問題を解決する色彩とコミュニケーション」の2冊でだいたい書きたいことを書き尽くした気がしていて、それ以降は、共著・監修・短い原稿ばかり書いていたのですが、今回登壇してまだまだ言い足りないし、伝え切れていないことがあると感じました。特に色の見え方やコントラストの話は10年以上前からあちこちで言い続けているものの、それほど変わっていないと感じることも多かったです。Facebookなどをご覧いただいている方はよくご存じかと思いますが。

であればもっとウェブ上で強く発信していくのがウェブ屋さんとしては正しいのかもしれませんが、ウェブだけにこだわらなくても、一人でも多くの人に伝えるチャンネルを増やすことも「アクセスできる」ことではないかなと帰りのバスでぼんやりと考えておりました。

そんな感じでFacebookにもう1冊やってもいいかもと書いたら、運良く拾っていただけることになりそうですので、今一度初心に戻っていろいろなことを伝えていきたいと思っています。「Web配色デザインのセオリー」から9年経って、色の何かが変わったわけではなりませんが、使われ方や重みは変わってきています。それをあらためて整理しようと思ってます。

できれば10年後の来年にセオリーをまとめ直したいのですが、どうなることでしょうね。

皆様のおもてなしにも感謝

これについてはほんとに感謝の言葉しか出てこないのですが、きちんと触れるとまるで遊びに行ったようにしか見えないので、撮影していただいた写真を掲載をもって、感謝の表明とさせていただきます。本当に高松はいいところでした。

大阪からだとバスで4,000円弱で行けてしまうので、また登壇以外でもお邪魔したいと思います。

あらためまして、参加いただいた皆さまをはじめ、主催者・スタッフの皆さま、登壇者のお二方に心よりお礼を申し上げます。 本当にありがとうございました。