先日からいろいろとデザインについてが世の中のあちらこちらをにぎわしておりましたが、水交デザインオフィスの深沢さんから、以下のようなツイートをいただいたので、あくまで自分が考えるデザインというものについて考えていました。
「僕クリエイターじゃないですから」常日頃言ってる @Kunio_Sakamoto さんのことをふと思い出し。フリーとしてやってるうちに、いつしかそういうデザイナーさんの方に憧れるようになっていたなと。
— Fukazawa Kojiro (@witch_doktor) 2015, 9月 12
という感じで、私はクリエイターではないと言ってるわけですが、僕の貧相な英語の知識と語感から受ける「クリエイト」とは、日本語でいうところの「創造」なんです。「天地創造」とか「創世記」という感じで、何もないところから世界を生み出すという印象です。
うちは受託案件がほとんどなので、お客さんは既にビジネスを始められていて、その分野に関する知見も当然持っているという場合がほとんどです。その環境の中で風通しを良くしたり、できることをお手伝いするという意味で、1を1.1とか1.2にしたり、上手くいけば2にすることができるかもしれませんが、0を1にして事業を立ち上げたり、新しいビジネスを創出できるわけではありません。
そういう意味ではクリエイターと名乗ることに違和感があるのです。では私の今の肩書はというと、「Webデザイナー」としています。このデザインという言葉の意味するところも非常に広くて、ややこしいことになるわけですが、今から4年くらい前にこういうツイートをしていました。
プロジェクトを成功させるための形を作る人は全部デザイナーかなぁ。都市計画なんかもデザインだと思うのですが、それを行う人が個々の建物の形や色を決めるわけではないですし RT @yhassy: あなたが考える「デザイナー」ってどんなイメージですか? #websig1ds
— 坂本 邦夫 (@Kunio_Sakamoto) 2011, 9月 7
この考え方はずっと変わっていなくて、都市計画を行うデザイナーがいてこれもデザイナー(個人とは限らない)でしょうし、とそれぞれの家の見た目を考える建築家さんやお庭屋さん、そして依頼する側の施主さんもデザイナーと呼んで差し支えないと思います。家自体は誰かが作ってくれたり、分譲で出来上がったものを買ったりするのでしょうが、細かい仕上げ(家具とか調度品などの選択)なんかは施主さんが決めるのでしょうし。
つまり今のビジネスを成功させようみたいな何らかの目的があって、それに携わっているいろんな人のいろんな意志を調整して、よりいいものにしていくのをひっくるめてデザインではないかと考えています。
Webも同じようなもので、見た目だけ整えても仕方ないですし、その会社のビジネスに深く関わってWebの活用法を考えることもであれば、信頼のおける制作会社さんのもとで、間接的にビジネスの成功に携わる(CMSの実装だけとかバナー作ったりだけとか)のもデザインの一部だと思うわけです。GoogleとかFacebookがやっていることもデザインだし、画像1つ作るのもデザインなのだと思っています。
と、こんな風に考えるようになってからは、お客さんとの打ち合わせなんかでは、狭義でデザインを示す場合には「見た目」という言葉を多用するようになりました。「見た目より中身が大事」みたいな使い方ですね。考え方の基本は変わっていませんが、表現や仕事内容はずいぶん変わってきた気もします。
今のところはデザイナーと名乗っているのですが、正直なところ肩書はどうでもいいと思ってまして、「なんか困ってたら声をかけてください」という感じになってきました。
そういえば最近あんまり色のことどうこう言わないよねと思われているかもしれませんが、今まで書いたり話したりしてきたことは、普段の業務に染みついていて自分の中で当たり前になってますし、「見た目より中身」を徹底するようになったからですね。
特に何かを伝えようとか思って書いた記事ではないので、坂本はこういう風に考えてますよというのが、クライアントの皆さまと一部のフリークの皆さま、単に物好きな皆さまにだけ伝われば何よりです。