「誰もが知っておくべきウェブサイトの基本ルール」の本
「シニアが使いやすいウェブサイトの基本ルール」を読みました。書籍のタイトルから高齢者向けのサイトとはどうあるべきかという本だと思っていたのですが、一般のサイトでも十分に取り入れられる(というよりもそうであるべきと思われる)内容だと思いました。
本編は「基本編」「実践編」で構成
本書は「基本編」と「実践編」に分かれていて、「基本編」ではレイアウトやナビゲーション、文字、リンクなどウェブサイトを使いやすくするための基礎知識が解説されています。「シニア向け」と書かれている部分もありますが、極めて重要なことばかりですので、ビジュアル面での細工に走りがちな駆け出しのウェブデザイナーさんなどは、ぜひ読んでおくとよいと思われます。
「実践編」は50の事例が紹介されており、各事例には「文字は大きく、ぎりぎりまで端的に。」や「絞り込んだメニューで、多数派の利便性を。」などのコピーが付いており、それを読むだけでも重要なことが何かを把握することができます。
中にはじゃっかん「ん?」と感じられるものもありますが、それはコピーの問題で内容の問題ではありません。本文に書いてある内容は非常に妥当なものだと思います。
この本のよいところは、シニア向けのサイトだけを集めたものではないということです。実際のところシニア向けのページは以前に比べて減ってきています。10年前に比べて高齢者がウェブサイトの閲覧に習熟してきていることと、ウェブを使ったことのある世代が高齢者になったということもあるのだと思います。
私も高齢者向けのサイトで無理に渋い色を使うことはないという考えですので、この事例の選択には非常に好感が持てました。まあ正直なところ高齢者向けのサイトで書籍に載せられるレベルのものを50選ぶのは至難の業かと思いますが・・・。
チェックリストもおすすめです
巻末には「ここまですれば安心 シニアにもやさしいウェブサイトに仕上げるためのチェック項目」が付いており、「レイアウト」「ナビゲーション・ボタン」「リンク」「検索機能」「入力フォーム」「その他」の約80項目についてチェックすることができます。
確かにここまでチェックすれば、「シニアにも」と書かれてあるとおり、他の人にも優しいわけで、より多くの人に使いやすいサイトにするためのチェックができるようになっているのは非常にいいと思います。
「使いやすいウェブサイトの見本帳」でもいいかな?
「シニア」という言葉にだまされて私には関係ない本と考える人もいるのではないかと思ったりしますが、シンプルでよいユーザビリティの本だと思います。
いろいろなデバイスでの閲覧を考えるとデザイナーはぜひとも押さえておきたい本の1つです。
また、あまりデザインが得意でないという人やディレクターや営業が、デザインのよしあしの判断材料に使うのもよいのではないかなぁと思いました。チェックリストは十分にその用途に合っていると思います。
結構よい本だと思いますので、ぜひ1冊手元にあるとよいのではないでしょうか。