このエントリーは「a-blog cms Advent Calendar」の23日目の記事です。
毎年Advent Calendarではa-blog cms初心者に向けた記事を書くようにしています。今年は今から新しいCMSを覚えようとしているHTMLとCSSしかできない人に向けて、a-blog cmsをおすすめする記事を書こうと思っていたのですが、不幸幸いなことに20日にHAMWORKSのハム(´ ºムº `)さんが「静的HTMLを最初に作る制作フローにするなら、a-blog cms がおすすめ」というすごくいい記事を書かれたので、この記事の上位版として絶対に読んでください。
私の方はもっと前の入り口の話を書いてみたいと思います。
HTMLとCSSの次にWordPress?ちょっと飛びすぎかも
所属している会社でWordPressを使っているので、WordPressを使わなければならないという人は仕方ありません。でもフリーランスだったり自分で選べる立場の人は、次にやるべきことがWordPressである必要はないはずです。
レンタルサーバーに「簡単インストール」があるので、おそらくWordPressは世界で一番インストールが簡単なCMSですが、その取り扱いはちっとも簡単ではありません。テーマやプラグインも多く、CMS初心者の人でも相当いろいろなことができるという喜びも感じることができます。
でもそれは道路交通法を知らない人をLOOPに乗せて繁華街に解き放つのと同じです。メンテナンスコストやセキュリティ面のリスクを考えた場合に、そのままクライアントに提供してよいと思えません(そういう人のおかげで私の仕事があるということも否定できませんが・・・)。
WordPressは非常に優秀で、きちんとわかった人が制作し、管理・運用されるのであれば何の問題もありませんが、「管理・運用って何するの?」みたいな人が扱うと乗っ取り・改ざん・情報漏洩などの可能性が高まります。アップデートでプラグインが動かなくなった場合には、サーバー・セキュリティ・PHPに関するそれなりに広範な知識が求められるため、今回の記事に該当する「HTMLとCSSしかできない人」がちょっと勉強したくらいで実務レベルに達するのは難しいですし、効率がいいとも思えません。
よく営業メールで「トップページ1ページ+下層ページ5ページのサイトをWordPressで導入しました!」みたいな実績にならないような実績が届きますが、「お知らせ載せるだけならそれStudioでよくない?」みたいなものがいっぱいあります。
デザイナーならStudioとかWebflowみたいなノーコードツールを勉強するとか、コーダーとならJavascriptを勉強した方が幅が拡がっていいと思うんですよね。
a-blog cmsならHTML+CSS+αでCMSが動きます
気づいたらJavascriptを勉強しようという話に化けていました。とは言え、私はJavascriptもPHPもできず、基本的にHTMLとCSSしか使えません。そんな私が自身が使える主力CMSとして選んだのがa-blog cmsです。あるいはジンドゥーとかWixを使うこともあります。
a-blog cmsは静的HTMLをそのままテーマフォルダに放り込んで、ちょこちょこっとコードを追加するだけでCMSが動作します。あなたが今できるHTML+CSSのデータやコーディング知識がそのまま活かせるのです。
お知らせを埋め込んだりするくらいなら、以下のページのチュートリアルを一通り試してみましょう。
記事の通り進めていくだけで、静的サイトにCMSを組み込むことができます。
静的HTMLサイトからCMSのテーマを作ってみよう 1「エントリー編」 | チュートリアル | ドキュメント | a-blog cms developer
a-blog cms developer
目次 はじめに HTMLで作られたサイトを themes フォルダーに設定 管理画面でテーマを設定 出力されるHTMLのコードを確認 トップページの記事の一覧を実装 記事詳細ページの実装 テーマ用の H...
この「静的HTMLサイトからCMSのテーマを作ってみよう」シリーズは1~5章までありますが、ここにPHPのプログラムは1行も出てきません。もちろんCMS独自の記述やお作法を覚えないといけませんが、a-blog cmsのテンプレートは基本的にコメントで構成されておりますので、HTMLタグの構造などは変わらず、自分が作ったままで見れるはずなので理解しやすいと思います。
1回目はチュートリアル通りに進めて、2回目は自分の持つHTMLファイルで試してみれば、かなり理解できるようになるはずです。
セキュリティとか運用コストの話はどこに行った?
ちょっとa-blog cmsのセキュリティの話もしておきましょう。
脆弱性データベースというものがありまして、そこでWordPressとa-blog cmsで検索してみると、WordPressが12133件に対し、a-blog cmsは8件のみです(2024年12月21日現在)。WordPressもプラグインに頼らなければかなりリスクは軽減されるはずですが、HTMLとCSSしかできない人が、プラグインの問題とかをリスクを判断できるわけもありませんよね。
プラグインに脆弱性
↓
プラグインをアップデート
↓
WordPress本体が動かなくなる
↓
サイトが見えなくなる
WordPress本体に脆弱性
↓
本体をアップデート
↓
プラグインが動かなくなり
↓
サイトが見えなくなる
昔はこういうことが多かったので、WordPressのアップデートをできなくするというセキュリティ的に穴が開き放題みたいなサイトを作る制作会社が少なからずありました。それを自分たちで直すと言うマッチポンプ商法・・・このような状況は減ってきていると思いますが、もう絶滅しましたか?
ちょっと話がずれました。
a-blog cmsでは標準機能が充実しており、外部プラグインに依存する必要がほとんどありません。そのため、アップデートによるトラブルが極めて少なく、運用リスクが大幅に軽減されます。また、本体のアップデートはセキュリティ対応を含めて簡単に実施できるため、安心して運用できます。
ちなみに標準機能でできないことは、新たにPHPによる開発が必要になりますが、今までに50サイト以上を制作した中で3回しかやったことありません。その3回のうち2回はCMSの開発者である有限会社アップルップルに依頼しています。
有限会社アップルップルは国内の会社です。もちろんサポートは日本語で行われ、いくつものサポート窓口があるので、「わからない」「できない」ことを作った人に直接聞くことができます。
「正しいかどうかわからない情報を知らない人の書いたブログから検索して動くかどうか試す」という絶望的な試みを繰り返すより心身への負担が掛からないの助かっております。
JSだって最初から用意されています
a-blog cmsでは最初からよく使われるJavascriptが「組み込みJS」という名で用意されています。数えてみたら時代が過ぎて非推奨になったものを除いて50くらいありました。その中で私がよく使うものは、
- サイドメニューをスクロールに追従させる
- オフキャンバスメニュー
- ブログなどの見出しで目次を作る
- 画像ビューワー
- PDFのプレビュー
- 日付選択カレンダー
- フォームのバリデーター
- ページ内のスムーズスクロール
- 画像・iframeの遅延読み込み
辺りでしょうか。これらはタグにクラスを付けるだけでだいたい使えますので、これだけでも相当労力が軽減されます。
こういうところで楽をすれば、他にクライアントが喜ぶことを考えることができるようにもなります。
でもライセンス費用が掛かるんだよね
これ、皆さんが言うんですよ。「ライセンス費用高いですよね? WordPressは無料なんでしょ?」みたいな感じで。
考え方はいろいろなのですが、月額1650円のサブスクが利用できますし、共用サーバーと合わせても月3000円以下です。それだけでさまざまな運用リスクが軽減することを説明した上で、携帯電話1台分くらいの料金を毎月出せないという企業は、そもそもウェブを重視していないことが感じ取れますので、希望に合わせて無料のものを使ってあげればいいでしょう。
そもそも無料のCMSでも有料のプラグインとかテーマを買えば、それなりの金額が掛かりますし、カスタマイズが必要ならそこそこの費用が掛かりますし、特にこのライセンスが高いとは思わないんですよね。
私の場合ですが、予算が50万円がa-blog cmsが使えるかどうかの目安の一つとしています。
お知らせの組み込み以外にどんなことができるの?
ほとんどのCMSはカスタマイズすれば何でもできるはずなのですが、PHPとJavascriptが使えない私でも、a-blog cmsなら今までにこういう要望に応えてきました。
- 画像・文章を表示させる一般的なブログサイト
- 全ページ内容を書き換えられるコーポレートサイト
- 複数日にまたがるイベントのタイムテーブルを登録し、詳細を表示する
- ユーザー登録をすればプロフィールを公開できる。またそのユーザーが自分でプロフィール編集をできる
- 商品のリアルタイム絞り込み検索
- メッセージフォームを設置した訃報ページ(葬祭業)
- 登録されたデータを元に印刷できるカタログのデータを作る
- 多くの店舗(100店舗以上)を持つ企業で、店舗ごとのアカウントでブログを更新
- 商品と作家のデータを連係させ、お互いに参照する
- 会員登録時にメールアドレスとパスワードだけではなく、アンケートへの回答を必須にする
- 商品や店舗データをCSVで更新する
- GPSの位置情報を利用し、現在いる場所から近い店舗を検索・表示する
- 会員登録した人のみ特典でファイルがダウンロードできる
他にもいろいろありますが、お知らせの埋め込みくらいからスタートして、結構ややこしいことも標準機能でできてしまいます。しかも最近は多少のPHPとかJavascriptもAIに任せているので、今まで以上にできることが増えています。
さいごに
自分のキャリアなんで自分で決めればいいと思うのですが、HTMLとCSSが少しわかる程度の人がPHPを使うCMSを覚えるというのはかなり大変です。
HTMLとCSSだけであってもきちんと覚えるのは大変ですし、仕様もどんどん変わっていきます。それに加えてプログラミング言語もどんどん新しくなったりするわけですので、なるべく不得意なところは楽をして、自分の長所を上手く使えれば、より楽しく働けると思います。
ノーコードツールではちょっと足りないけど、もうちょっと何かできるようになりたいという場合に、新たな言語を覚えたり、専門外のことに一生懸命になるよりはa-blog cmsはかなりおすすめできます。
とは言え、それなりに学習コストは必要ですし、昔からa-blog cmsは3サイト作って一人前と言われます。
- 自分のサイトを作る
- クライアントのサイトにお知らせを入れる
- 全部a-blog cmsで構築
くらいやってみるといい感じに使えるようになるのではないでしょうか。